NEDO 慣性力等を備えたインバータ制御の基盤技術開発事業
プロジェクト概要
太陽光発電を始めとした再エネ電源の増加により、電力系統に接続される火力発電等の同期発電機が減少し、電力系統の慣性が低下することで系統安定性に影響を及ぼす可能性が懸念されています。将来的に電源構成の主体となる太陽光等の分散電源は、インバータを介して系統に連系されます。このようなインバータ電源(IBR:Inverter-Based Resource)に周波数安定化機能等を実装することで同期発電機と同様の機能や効果が期待されています。
そこで、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「再生可能エネルギーの大量導入に向けた次世代電力ネットワーク安定化技術開発」事業では、インバータ電源による低慣性系統に向けた対策技術の基盤技術の開発を実施しました。
成果
企業・大学等と連携し、慣性力等を備えたインバータに求められる周波数安定化機能等について標準仕様を検討し、新たに開発した周波数安定化機能等の制御アルゴリズムを実装したプロトタイプを開発しました。当該技術の適用効果を検証するためのデジタルツインなどにも応用されるHardware-In-the-Loop(HIL)技術等の新たな検証技術を開発し、再エネの主力電源化には当該技術が効果的であることを示しました。従来型インバータである系統追従型GFL(グリッドフォロイング)タイプと更に系統形成型GFM(グリッドフォーミング)タイプなど複数の機能を検討し、短期的には既存の系統連系規程に適合が容易な周波数安定化機能を実装したGFLタイプが有力であること、中長期的にはGFMタイプが必須となることなどを電力系統の瞬時値解析やプロトタイプの試験などから明らかにしました。
プロジェクト期間
2019年度から2022年度