SoRA-Grid
ツール概要
現在、再生可能エネルギーへの関心が高まっており、太陽光発電(PV)を中心に分散電源(Distributed Energy Resource: DER)の導入が進んでいます。しかし、自然変動電源であるPVが大量に導入された配電系統においては、電圧や周波数といった電力品質の悪化が懸念されます。
自然変動電源の大量導入を実現させるためには系統の安定化技術が必要になります。中でも、従来のパワーコンディショナ*に、より多くの系統安定化をサポートするための機能(通信機能、高度な電力制御機能など)を付与したスマートインバータ**の導入が期待されています。スマートインバータの導入のためには、スマートインバータが系統に与える複雑な影響の解析と評価が必要です。
そこで、われわれは、スマートインバータが配電系統に与える影響を評価するためのシミュレーションツール「SoRA-Grid(Solar Resource Application for Grid power flow analysis tool)」を開発しました。SoRA-GridにはPV・蓄電池用のスマートインバータに加え、負荷時タップ切換変圧器や静止型無効電力補償装置(SVC)などの電圧制御機器が実装されており、それらが配電系統の電圧・周波数の品質に与える影響を解析することが可能です。
*パワーコンディショナ
海外では一般的にインバータと呼ばれる、逆変換装置及び保護装置が一体となった装置のこと。保護装置とは、過電圧や過電流保護など、系統保護(単独運転防止)機能をさします。PCS、パワコンと略されることもあります。
**スマートインバータ
電力系統の安定性をサポートするための様々な機能を備えたPCSです。通信機能、FRT(Fault Ride Through)などの保護機能、系統サポート機能を有しています。SoRA-Gridでは、系統サポート機能の解析が可能です。
モデル
現時点では、以下のようなモデルを実装しています。
モデル | 機能 | |
---|---|---|
スマートインバータ |
系統サポート機能 |
指定力率指令 |
日本独自機能 |
有効電力制御 |
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負荷 |
定電力 |
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変圧器 | タップ制御機能 4方式 | |
発電機 | 周波数垂下特性 | |
配電線 | R,X回路 |